日本でも、2015年に東京都渋谷区と世田谷区でスタートしたパートナーシップ制度。同性どうしのカップルが、婚姻関係にあるパートナーと同等だと承認する制度で、国内では、100以上の地方自治体が実施しています。

対象の自治体で承認を受けることができ、承認を受けることで病院でも家族とみなしてパートナーの病状や症状を聞くことができたり、住宅に入居することが可能になったりとさまざまな機会や権利を獲ることにつながります。

しかし一方で、日本では現在、同性婚は法律上認められていません。言い換えると、パートナーシップ制度にも法的な拘束力はなく、権利や得られる機会についても場合によってさまざまだということです。

今回は、日本のパートナーシップ制度について知るとともに、海外でのパートナーシップ制度はどのようなものがあるかについて調べてみました。

日本のパートナーシップ制度って?

日本では、2015年にパートナーシップ制度がスタートして以降、実施する自治体は少しずつ増えており、現在では100以上の自治体が制度を承認しているほか、一部では三重県、茨城県など都道府県単位で実施しているところもあります。

これまでに2000以上のカップルがパートナーシップ制度の承認を受けているとされています。

同性のパートナーとして承認や宣誓を受けたりすることができ、カードなどを携帯することでその証明となります。ただし、パートナーシップ制度で承認を受けていても婚姻関係にあるわけではなく、結婚ではないので、日本において法的な力を持つ制度ではありません。

病院や住宅に入居する際に家族として情報を得たり、一緒に住むことができたりする場面もありますが、法律上は家族ではないという問題から、病院では、パートナーの病状が把握できなかったり、救急車に同乗することができなかったりといった問題も起きています。

海外でのパートナーシップ制度や同性婚事情は

では、海外では同性カップルに対してどのような現状があるのでしょうか。世界では、婚姻に相当する関係として事実婚が法的に認められている国もあります。

日本で事実婚というと、実際には結婚していない、婚姻関係にはないけれど、長年一緒に過ごしているパートナーがいる、といった場合に事実婚という言葉を使ったりもしますが、海外では婚姻に準じている関係という認識が強いようです。

これらをパートナーシップ、シビルユニオンなどと呼び、同性同士のパートナーだけでなく、男女間にも利用可能なものになっています。

結婚とまったく同じものと言い切ることはできませんが、事実婚でも、結婚で得られる法律上の権利と同等のものが認められている場合が多いです。

欧州では、婚前契約が不要で、手続きが簡素であることから事実婚を選ぶカップルも多いと言われています。もちろん、同性のカップルが利用することも可能で、実際にそうした例も多いようです。

世界で初めて同性婚を認めたのはオランダ

1989年にデンマークで初めて同性カップルに対して、異性カップルの結婚と同等の権利が得られる「登録パートナーシップ法」が作られました。結婚ではありませんが、法的に同性カップルの関係が保証されるようになりました。

それから10年以上経った2001年に、世界で初めて同性婚を認めたのがオランダです。法律上の結婚で、異性カップルも同性カップルも関係なく、同じように婚姻関係を結ぶことができるようになりました。

その後、ベルギー、スペイン、カナダなどの国がつづけて同性婚を法的に認めるようになり、現在ではヨーロッパやアメリカなど、世界約30の国と地域で法的に同性婚が認められています。また、アジアでは2019年から台湾で同性婚が可能になりました。アジアでは初めてのことです。

さらに2022年にはスイスでも同性婚を法的に認めることが決まっています。

登録パートナーシップ法を持つ国もさまざま

法的に同性婚を認めていない国のなかにも、法律として登録パートナーシップを持つ国もあります。シビルユニオンと呼ぶこともあり、法的に承認されたパートナーシップ関係のことをいいます。

これは、日本のように制度として法的な拘束力を持たないものではなく、法律上認められたパートナーシップであり、カップルであるということです。

デンマークで始まった法を他の国が引き継いだ形になります。この法律は、同性カップルだけではなく、異性カップルも本人たちの意思次第で適用が認められている場合もあります。

世界全体でみても、異性カップルの結婚と比べると同性カップルの結婚やパートナーシップ制度の承認には時間を要したと考えるべきですが、現在では、パートナーどうしの性別に限らず自分たちが望む方法でパートナーシップを結ぶことができる国も増えてきています。

パートナーシップ制度、海外ではさまざま

海外にも、同性カップルが婚姻と同等の関係に相当すると定めるパートナーシップ制度があることがわかりました。一方で、日本の制度とは違い、法的な力を持つものも多いです。実際に、事実婚を認めている国や地域もあり、本人たちの意思次第で婚姻関係を結ぶことができる国があるのも事実です。

日本でも、パートナーシップ制度は各自治体でも承認されるようになり、拡充してきていますが、一方で法的な力を持つようになるのはいつなのか、という疑問も残ります。海外での動向も見ながら、今後日本でもより多くのカップルが過ごしやすく、また法的にも同等な権利を得られるようにどのように対応していくのかも追っていきたいですね。

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◎この記事を書いた人・・・藤枝あおい
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