パートナーシップ制度についてご存知でしょうか。これは、同性カップルを、結婚や婚姻と同等の関係であると公認する制度のことです。

しかし、急な病気や事故、怪我などの場合に、婚姻関係がないからと自分のパートナーの容体や状況、病室などを教えてもらえないといった婚姻関係にある人とは違った状況も生じる場合があり、手放しに喜べる制度とは言い切れません。

今回は、パートナーシップ制度とはなにか、また病院などの場面でどのような問題があり、どんな課題を解決していく必要があるのかについてお伝えしたいと思います。

パートナーシップ制度とは

まずは、パートナーシップ制度について知っていくことから始めましょう。これは、同性カップルに対して、法律婚と同等のパートナーシップであることを承認する制度のことです。

トランスジェンダーのカップルなど、一見男女のカップルに思える場合でも、戸籍上の性別が同性である場合などは、パートナーシップ制度を適用させることになります。必ずしもパートナーシップ制度が同性どうしのパートナーであるわけではないことも知っておいてください。

また、これは地方自治体それぞれで承認するものになります。法律婚とまったく同じ条件が認められたり、同じ状況になったりするとは言い切れませんが、住宅への入居が可能になったり、病院で家族として扱ってもらうことができるなど、一定の効力はあるものです。

さらに、会社に勤務する人であれば、法律婚と同等の福利厚生を受けられる場合もあります。

日本では2015年にパートナーシップ制度がスタート

パートナーシップ制度という名前は聞いたことがあっても、実際にどのような自治体で実施されているのか、今も適用されるのか知らないという人もいるかもしれません。

パートナーシップ制度は、日本においては2015年、東京都渋谷区と世田谷区でスタートしたのが最初になります。

自治体がパートナーであることを証明し、宣誓を受けることもできるようになりました。

現在では、日本でも100以上の自治体でパートナーシップ制度が施行されており、日本のさまざまな都道府県でパートナーシップを証明してもらうことが可能です。

とはいえ、パートナーシップ制度は結婚とは違う

パートナーシップ制度の広がりは、当事者が権利を行使できるだけでなく、第三者へのLGBTsに対する認識の広まりなども含めて良い点がいくつもあります。

しかし、日本では未だに同性婚が認められているわけではありません。つまり、法律上認められたものではないということです。

パートナーシップ制度が一定の効力を持つのは事実ですが、自治体によって認められていなかったり、場面や場合によって法律上の婚姻と同等の権利が得られなくなることもあります。

今回は、医療や病院の場面において、パートナーシップ制度があることによってどのような事が可能になり、またどのような課題を残しているのか見ていきましょう。

病院でパートナーシップ制度は有効?

パートナーシップ制度があることでパートナーが家族と認めてもらうことができ、緊急時に病室に入ることができたり、手術など重大な判断が必要になる場面で、その判断にも加わることができたりします。

しかし、先程もお伝えしたとおり、パートナーシップ制度には法律的な効力はないので、法律上の家族ではないからと病院側から面会を拒否されたり、病状を知らせてもらえなかったりといったことも起きます。

手術や治療が必要な場合でも、必ずしも命に関わるわけではないですが、面会することができず、病状を聞くことが叶わないがために、パートナーの命を案じることもあるかもしれません。逆に、危篤な状態で状況を知らせてもらえないのも、パートナーとして非常に辛いことです。

コロナ禍で病院での対応はより深刻に

新型コロナウイルスが発生、蔓延してまもなく2年が経とうとしていますが、コロナはまだ解明されていない情報も多く、さらに人々に免疫がないため感染しやすいので、同性のパートナーであるかどうかに関わらず、実際の面会には高いハードルがあります。

そのうえ法的な効力を持たないパートナーシップ制度においては、さらに高いハードルがあると考えられるでしょう。

実際に、パートナーに陽性反応が出ても、それ以上の情報を開示してもらうことができず、不安な状態で自宅で待機しなければならないというような状況も起きているようです。法律上の家族ではないから、という理由が高いハードルの一因となっています。

ほかにも、救急車に同乗できなかったり、ICUに入ることができないといった問題も残っているようです。なかには、理解のある病院もあり、実際に増えてきているのかもしれませんが、改善が必要な難しい現状も残っています。

パートナーシップ制度を知り、利用することも大切

パートナーシップ制度と、病院での対応や、現在同性パートナーに立ちはだかる課題についてお伝えしてきました。

法律上の家族ではないということが、病院や医療など命に関わる場面でも大きくのしかかってきます。しかし、パートナーシップ制度で承認を受け、承認を受けたカードを持ち歩いていれば、自分やパートナーにもし何かあった場合にも適切に対応してくれる可能性もあります。

パートナーシップ制度には法的な効力がないからと悲観するだけでなく、適切な理解が広がっている場面で、適切に利用することもできます。

コロナ禍はまだまだ続く可能性がありますし、より医療現場や病院での対応が気になるところではありますが、この制度が必要だと感じた場合には、パートナーともよく話し合って、また現状も見つめながら検討してみると良いのではないでしょうか。

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◎この記事を書いた人・・・藤枝あおい
ほそぼそとライターとして活動中です。休日は1日中家で寝ていたい派。引っ越しの予定はないものの、ぐっすり眠れそうな物件情報と間取りは頻繁にチェックしています!

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