LGBTs

空衣

【FtMの本】トランスジェンダー男性のエッセイ・自叙伝をご紹介します

どうも、空衣です。FtMでパンセクシュアルです。
今回の記事では、FtMのエッセイ・自叙伝をまとめました。

FtM(Female to Male)とは、トランスジェンダー男性のことです。生まれたときに女性として性別を割り当てられたが男性である人、または「女性的な身体・境遇」から「男性的な身体・境遇」になる人を指しています。

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トランスジェンダー男性の想いを伝えるエッセイ

男の戸籍をください

2003年 日本 毎日新聞社
性同一性障害を世に広めた『3年B組金八先生 第6シリーズ』直役(上戸彩さん)のモデルといえばご存知でしょうか、虎井まさ衛さんの著書です。

戸籍上の性別を変更するための性同一性障害特例法は、2004年に施行されました。逆にいうと、それまではどれほど性別違和があろうが手術をして身体的な変化を遂げようが、戸籍は出生時から変更できなかったわけです。タイトル通り、戸籍変更を勝ち取るまでのトランスジェンダーの闘いの物語となっております。

ぼく、長女です。

2010年 日本 ワニブックス
初の「イケメンおなべタレント」としてデビューした諭吉さん。過去の話を綴っているのですが、自然にすっと読みやすい一冊です。

出版より後の話ですが、諭吉さんは2012年から2018年にかけてはSECRET GUYZ(シークレットガイズ)というFtM3人組アイドルグループでの音楽活動もしていました。

オレは絶対にワタシじゃない: トランスジェンダー逆襲の記

2018年 日本 はるか書房
「人は悲しみなしに、人権活動家になんてならない」
トランスジェンダー当事者としてLGBT支援にかかわる、遠藤まめたさんの著書。
性的少数者であることは、生きづらさと切実に繋がっています。ときに友人を失うことも。
遠藤さんは、LGBTの子ども・若者向けに「にじーず」という団体を運営しています。
LGBTユースのための居場所・にじーず

トランスジェンダーの私がボクサーになるまで

邦訳 2019年 毎日新聞出版
原書 2014年 “Man Alive” アメリカ

男性として生活するようになったけれど、「男らしさ」とは何だろう?
性別移行後の視点から語られるさまざまな疑問・違和感について、トーマス・ページ・マクビーさんにより赤裸々に描かれています。

別記事で詳しく解説しています。
関連記事【FtMの本】男らしさとは?『トランスジェンダーの私がボクサーになるまで』

歌姫の仮面を脱いだ僕

2020年 フィリピン (邦訳は柘植書房新社)
フィリピン出身の歌姫シャリースとして全米デビューも果たした彼、今はジェイク・ザイラスという名前の男性として生活しています。
愛している母親からの虐待、父親の死、おじさんからの性的暴力。のど自慢大会で必死に歌い賞金を獲得することで、ギリギリの生活を保っていたのだと告白されています。

「神様が与えてくれた天性の歌声で僕はスーパースターになったんだけれど、皮肉なことにそれは僕が『女の子でいる間だけ』使える魔法のようなものだったんだ(p.13)」

FtMが男性ホルモン治療を開始すると、声変わりします。ジェイクは“シャリース”として熱狂された高音の歌声と引き換えに、なりたい自分になることを決意しました。

トランスジェンダー男性が集まったアンソロジー

Complex

2021年 日本
「Complex」は、女性として生まれ、男性として生活している”トランスジェンダー男性「FTM」”のコンプレックスに焦点を当てたフォトエッセイ。10名のFtMの写真とエッセイが掲載されています。

クラウドファンディングで支援した人に冊子が届くようになっています。(当事者の声がこうしてまとまった形で届く機会は珍しいので、私も支援者になりました!)

なおクラウドファンディングは、2021/07/18 23:59:59まで募集中だそうです。
“性の在り方”に悩む人に「トランスジェンダー男性」のフォトエッセイを届けたい!

Finding Masculinity Female to Male Transition In Adulthood

2015年 アメリカ
『Finding Masculinity Female to Male Transition In Adulthood』は、成人期の女性から男性への性別移行について記された本です。FtMが直面する5つのテーマに分けて、計13名のFtM当事者が語っています。編集者はアレクサンダー・ウォーカーさんとエミット・ジャック・ランドバーグさんです。

FtMが語る5つのテーマ
1、感情的、精神的な移行
2、家族
3、恋愛的な関係性
4、医療コミュニティ
5、仕事での移行

本書の面白いところは「FtMあるある」が満載なのはもちろん、「意外と性別違和に気づくのが遅かったのか…」「まずはトランスジェンダー男性ではなく、レズビアン女性だと思っていたのか!」などと興味深いエピソードも正直に綴られているところでしょうか。日本ではあまり話題になりませんが、本書では「トランスジェンダーと軍隊」の話もあります。

父親になって子育てするトランスジェンダー男性のエッセイ

パパは女子高生だった

2019年 日本 明石書店
著者の前田良さんは、FtMでも戸籍上の「父」になれるように裁判を起こし、2013年に最高裁で逆転勝訴しました。(それまでは、FtMが戸籍上の「男」や「夫」になることはできても、「父」にはなれなかったのです。)

そんなパパ・前田良さんを、子どもの目線でも描いているのが『パパは女子高生だった』です。「親が性同一性障がいだから、その子どもはかわいそう?」他者からの失礼な本音をぶつけられて大変な思いをしながらも、やっと法的にも守られた家族生活をつかみとったことが述べられています。

前田さんは学生時代、女子校に通っていました。しかし女子校の制服を着ていても、女装していると思われて、気持ち悪がられたり、冷たい視線が向けられたりしていたといいます。FtMのなかでも本当に女性さながらの生活を表面上は送れていた人もいれば、男子が女子の中に紛れ込んでいるみたいで浮いていたという人もいます。

ちんちんのないお父さん

2017年 日本 文芸社
FtMはどうやって子作りするのでしょうか?女性という身体で生まれてきた以上、精子はありません。
著者の川崎和真さんの場合は、シリンジ法で第三者から精子提供を受けています。シリンジ法とは、針のない注射器のようなシリンジに精子を入れ、それを膣内に注入するやり方です。
精子提供の相手は血縁者からではなく、個人で精子提供を行なっている男性と連絡をとったそうです。具体的なやり方が書いてあるので、子育てしたいFtMはぜひお手に取って確認していただきたい一冊です。

もう一つ注目すべき内容は、FtMの陰核陰茎形成術(クリトリスからペニスを作り出す方法)についても実体験が綴られていることです。女性から男性へ戸籍変更する際はこの手術は不要なので、ここまで手術を進めるFtMは多くありません。そのため大変貴重な情報といえます。
川崎さんは「立ちションしたい」という夢を叶えるため、その「ミニペニス術」を受けました。うまくいかなかった手術のことも詳細が記されています。

元女子高生、パパになる

2020年 日本 文藝春秋
杉山文野さんの1冊目の著書『ダブルハッピネス』が2006年に出版されて、はや15年。2冊目となる本書では、それからの出来事 -東京レインボープライド、同性パートナーシップ条例、パートナーとその家族、子ども- について語られています。

杉山さんは「LGBTってメディアの中にしか存在していないでしょ?」というイメージを助長させないために、一度は一般企業で働いた経験もありました。しかし自分にしかできない課題に着手するため、2012年には会社員生活をやめたそうです。その背景には、セクシュアルマイノリティ当事者から救いを求めるメールがひっきりなしに届き続けていた、という事情がありました。

気になる子づくりの話は、第5章に記されています。杉山さんの場合は、ゲイの友人から精子提供してもらい、それをシスジェンダー女性であるパートナーの膣内に入れる、体外受精をしたそうです。そして3人で子育てをしています。
なお杉山さんの場合は戸籍が女性のままで、実質父親として生活しています。

トランスジェンダー男性との結婚生活を描いたコミックエッセイ

うちのダンナがかわいすぎるっ! 元♀のイケメンと入籍しました!!

2017年 日本 学研プラス
こちらはFtM本人ではありませんが、FtMと入籍した妻(ヨメちゃん)によるコミックエッセイです。夫婦ともにかわいく、読むとポジティブな気持ちになれます。

以上、トランスジェンダー男性のエッセイ・自叙伝をご紹介しました。
トランスジェンダーの法律、手術、ホルモン投与による変化、恋人や家族との関係性、心境の変化などさまざまな角度からFtMについての人生が語られています。気になる本は見つかりましたでしょうか?

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◎この記事を書いた人・・・空衣
1996年、神奈川県生まれ。居住地にこだわりがなく女子寮にいたこともありますが、現在は男性の境遇で生活しています。カレー好きで、世界一辛いカレーを完食したことも。

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