LGBTs

空衣

【FtM自分史】なかったことにされがちなFtM異端エピソードを告白します。

どうも、空衣です。FtMでパンセクシュアルです。

前回までの記事では、FtMの自分史であるあるエピソードが多かったかと思います。
一方で、そんな「FtMらしい」「元から男性だった感じのする」エピソードばかりではなかったのもまた事実です。

FtM自分史は男らしさを強調しがちだけど

とはいえ、あまり男性ジェンダーに則った行動をしてこなかったFtMの場合、そうと知られることで「あなたはFtMではないのでは?」と診断がもらえなくなったら困ります。そのため都合の悪い(男らしくない)エピソードはFtM当事者にとってもGID認定医にとっても、なかったことにされがちです。これは日本国内に限った話ではありません。

参考:GID(性同一性障害)学会 認定医一覧

実際はシスジェンダーの男性のなかにもいわゆる「男らしくない」方はいて、FtMの生き方も人それぞれのはずです。トランスジェンダーの男性だからといって、「なるほど、確かにあなたは男らしいですね」などと誰かを納得させなければならない理由は本来ありません。ただ、その現状が素直に医療現場や当事者の声として可視化されているかには正直疑問が残ります。

異端っぽいFtMのエピソード

性自認が男性だと思ったことがない

FtMの定義として「心が男性」「性自認が男性」という説明があります。しかし私の実感として、それに当てはまったことはありませんでした。

そもそも世界の約半数である男性たちは、「自分は男性だ!」と強固に思って生きているのでしょうか?とくに何も性別のことを考えたことがない男性も、きっといるのではないでしょうか。

私もそんな風に、固有のジェンダーアイデンティティを持っているといえるほど、性別に対する意識を強く持っていたわけではありません。ただ、男性として生きていくこと、男性的な身体を目指す覚悟があったというだけです。だからFtMだとみなされることは、後付けの説明みたいなものでした。

女性として活躍できるかもと思っていた

中学生になり、制服のスカートを強制させられる日々。中学入学はまったく嬉しくなく苦行のようでしたが、一方で女子としてモテるという経験をしました。運動神経も女性基準のなかでは好成績だったと思います。女子生徒から「〇〇ちゃんみたいになりたい」と言われることもありました。

自然と周囲からチヤホヤされるため、「このまま女子としてうまくやっていけるよな?」と自身を納得させているような感覚を持っていました。周囲の評価が絶対で、自分の意見を持っていない(持ってはいけないと思っていた)生徒でした。そのまま女性として活躍(?)できたとしても、その後の私の人生はちっとも明るくなかったでしょう。

男性が好きだった過去はなかったことにされた

私は男性も恋愛対象なのですが、そのことはジェンダークリニックで話したにもかかわらず、取り沙汰されなかった記憶があります。一方で、女性が好きだった話ばかり注目されたように思いました。

「女性が好きなの?ではFtMらしいね」という異性愛規範が診断のなかにも反映されていたからでしょう。「この人はFtMであり、男性です」と示したいにもかかわらず「(部分的にも)男性同性愛者」であるということは、ダブルマイノリティであり、都合の悪いこととされるからです。
「男性が好きならばゲイのFtMではなく、単にヘテロセクシュアルの女性として上手くやっていけるのでは?」というバイアスがかけられてしまうことがあります。

妊娠・出産の可能性も考えていた

私のなかには、好きになった相手と共に生きていきたいという思いがありました。私はパンセクシュアルであり、好きになる相手の性別は決まっていません。
そのため生殖機能が自分とは異なる相手との場合は、出産の可能性も想定することがありました。たとえば「MtFとの性別逆転カップル」や、「ゲイ・バイ男性との同性カップル」というパターンです。

しかしこのことは医師でさえ理解のとどかない場合があります。
「FtMが出産するなんて、女性扱いのままでいいのでは?」という批判がなされることがあるわけです。それゆえ単に愛する人と一緒にいたい、子どもが欲しい、と思ったとしても、そのことを理由に自身の性別を疑われることを恐れて、正直に事情を話せないケースがあります。

私は治療課程において、すぐに子宮卵巣摘出をするつもりはありませんでした。それは自身がパンセクシュアルであり、戸籍や生殖機能を保持しておいたほうが後々役立つかもしれない、という考えがあったからです。

もしFtMが妊娠や出産するとなった場合、妊婦として女性扱いされたり、男性ホルモン注射をストップしたりしなければなりません。しかも子どもがいると、その子どもが成人するまでは戸籍変更することができません。
もちろんそうした苦痛を望むわけではありませんが、それだけのリスクをとってでも自分と相手の子どもをほしいと願うことも充分あり得るので、「子どもを産む=FtMではない」という規範は要らないものだと思います。

以上、FtMの自分史でなかったことにされがちなエピソードを共有しました。
実は自分もです…というFtMの人がいると少し安心します。

◎この記事を書いた人・・・空衣
1996年、神奈川県生まれ。性別も住処も旅してきました。

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