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渋谷区パートナーシップ証明書の交付がスタートしてから今月で2周年を迎えるにあたり、実態の報告会が本日行われました。詳細資料が後日Webで公開されるそうですが、報告会で印象に残った話題やポイントをご紹介したいと思います。

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渋谷区 パートナーシップ証明 実態調査 報告会
■日時:11月5日(日) 14:00〜15:30
■会場:渋谷男女平等・ダイバーシティセンター〈アイリス〉
(東京都渋谷区桜丘町23-21 渋谷区文化総合センター8F)
■内容:証明書を取得した方々や、LGBTに関する施策を実施している企業へのヒアリング調査の報告(回答者は30~70代の個人16名、および企業10社)
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渋谷区では24組が交付完了

2017年11月でパートナーシップ証明書の交付開始から2周年を迎えますが、11月1日までに渋谷区で交付が完了しているのカップルは24組だそうです。スタート当初の申請数がやや多かったものの、だいたい月一組ペースで徐々に増えているようです。

24組は多い?少ない?

この「24組」が多いのか少ないのかは判断は、人によって分かれるところだと思います。世田谷区ではすでに56組が申請しているため、私は「渋谷区は申請のために公正証書の作成が必要であるため、ハードルが高くない世田谷区の方が多いのだろう」と考えていました。しかし人口比に関する説明があり、渋谷区の人口が約22.5万人であることに対し、世田谷区が約90万人であるため、決して人口比で考えると渋谷区が少ないわけではないことがわかりました。(※ちなみに同性パートナーシップ制度を利用しているカップル数は、他の自治体も合わせると全国で133組になるそうです。)

渋谷区は男性の取得者が多い

渋谷区のパートナーシップ制度の特徴として、他の自治体に比べると(戸籍上)男性の取得者が多いそうです。また年代は20代が7組、30代21組、40代13組、50代4組など、30代を中心とした若い世代の利用が多い傾向にあるとのことでした。他にも、周囲にカミングアウト済の方や付き合い年数が長い方が多いそうですが、中には1977年から付き合っているという方もいらっしゃるそうです。

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証明書取得者のリアルな声

今回の調査では16人(うち4人は取得を検討中)にヒアリングを実施したそうですが、いくつか印象に残った点をピックアップしてみました。

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・公正証書を作成するプロセスが、二人の関係を見つめなおす良い機会になった。
・(証明書の取得により)自分たちの存在を可視化することで、社会をより良くすることにつながってほしいという思いから申請した。
・(申請前は)病院でパートナーに対する扱いが冷たかったため申請した。
・証明書は生命保険の受取人指定 病院での提示 携帯電話や飛行機のマイルなどの家族向けサービスなどで活用している。
・手術の際に、証明書のコピーを医者に渡して説明したという方がいた。
・公正証書の作成の際、だいたい5万円前後の費用がかかっている人が多い。
・(申請には不要だが)遺言書なども合わせて作成した方は約30万円程度かかった。
・後見人制度は母親よりパートナーの方が優先度が高くなるため、事前に家族に説明した。
・ゲイの友人から「へー、申し込む人いるんだ」「意味あるの?」などの冷ややかな反応があった。
・渋谷区から出たら返納しなければならないため、区外に引っ越せなくなった。
・メディアを通して制度が広く知られているため、説明しやすくて良い。
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先進的な取り組みをしている企業の例

今回の調査では、LGBTs関連の施策を実施している先進的な企業10社にもヒアリングを行ったそうです。同様にいくつか印象に残った点をご紹介します。

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・社内規定に明記し、社員の福利厚生に適用している。
・社内で取り組みを進める上で、渋谷区など行政の施策が正当性の裏付け・根拠になった。
・若手社員グループの企画が社内コンペに通って、社内研修が実現した。
・社内当事者グループが組織され、対従業員、対顧客の施策に意見表明できるようになった。
・(住宅ローンなど金額の大きいサービスに適用する業界では)公正証書がセットになった渋谷区の制度が他自治体にも広がってほしい。
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学術研究チームの意見

今回の調査に携わった学術研究チーム(大学関係者など)からも、さまざまな意見が出ていたので一部ご紹介します。

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・長期的な関係の見通しを得ることは、生活のさまざまな面にプラスの影響を与える。
・リスクやコストをシェアする相手がいることは、何か行動を起こす際の後押しになる。
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また渋谷区からの補足として、パートナーシップ制度の利用がカミングアウトにつながってしまうのではないかという点を心配する問合せも多いという話がありました。例えば、住民票などに何らかの表記が追記されてしまい、家族や職場にバレてしまうのではないかという懸念です。あくまで渋谷区の条例に基づいた制度であり、住民票などの内容には影響がなく、パートナーシップ証明書の交付が社会的なカミングアウトにはならないということでした。

最後に・・・

よくパートナーシップ制度の話をすると、「自分にはパートナーがいないから関係ない。誰か紹介して!」という方も多い(笑)のですが、IRISと一緒に100BANCHのプロジェクトに取り組んでいるジュエリアスさんが、11月22日(水)に25~45歳のゲイの方を対象とした出会いイベント『Destiny』を企画されているそうです。今回はあえて16名という少人数制で開催されるそうなので、将来のパートナーを探している方は、ぜひ下記URLをチェックしてみてください!

▼真剣出会いイベント『Destiny』001
https://ssl.form-mailer.jp/fms/51b9d404430515

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◎この記事を書いた人・・・池澤廣和
これまでアート、デザイン、web、マーケティング、雑誌連載、大学講師など幅広い仕事をする一方で、LGBTsの映画祭を福岡で企画したりしてきました。IRISのホームページではLGBTs関連の記事を書いたりしているので、随時ネタを募集しています!

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