生きていたら否応なしに襲ってくるお金の話。そして、ときどき耳に入ってくる「年金」。
毎月、毎月たくさん給料から引かれてるし、将来破綻する(?)とか言われてるし、なんか難しくて怖そうだけど、年金っていったいなんなの?

1.年金って何??

「年金」は別名“年金保険”と言われています。
保険は簡単に言ってしまうと「皆がお金を少しずつ出し合って、困っている人を助ける仕組み」のことで、年金保険とは「働いて収入がある人が少しずつお金を出し合って、年老いて収入がなくなってしまった人を助ける仕組み」なのです。
人は皆老いていきます。ですから、いま年金を支払っているあなたも、いずれ受け取る側に回ります。(うまく制度が回っていけば)

「年金」のはじまりは、1888年のドイツと言われています。ビスマルク政権下で成立した「廃疾・老齢年金保険」は、16歳以上のすべての労働者が加入し、70歳以上になって収入が少なくなった人にお金を給付する制度でした。
この制度に対する後の評価は様々ですが、少なくとも今日の年金制度の原型になったことには他なりません。
このように国が運営する年金を、とくに「公的年金」と言います。

2.日本の「公的年金」制度

日本の「公的年金」は大きく3つの年金制度から成り立っていました。1944年に「厚生年金」が始まり、1948年から「共済年金」、1959年に「国民年金」が開始されました。
2015年8月の法改正で、「共済年金」は「厚生年金」に統合され、現在は大きく2つの制度から成り立っています。

それぞれに加入の条件があり、条件に該当している間は、掛け金を支払う必要がありますが、経済的に支払いが難しい人には掛け金の免除、学生等には支払いを待ってもらえる制度もあります。

年金の種類 加入条件
国民年金 日本在住の20歳以上60歳未満のすべての人
厚生年金 会社等に勤務するすべての人
共済年金(2015年10月に厚生年金へ統合) 公務員や私立の学校教職員など

たとえば、日本に住む27歳の会社員のAさんは国民年金と厚生年金に加入し、日本に住む33歳の自営業のBさんは国民年金に加入することになります。
これらの公的年金では、国民年金のみに加入する人を第1号被保険者、厚生年金に加入する人を第2号被保険者、会社員等に養われている配偶者を第3号被保険者として区別しています。
このなかで第3号被保険者は国民年金に加入し、年金の給付を受けることができますが、掛け金の支払いの必要はありません。

年金の種類

しかし、ここでLGBTsには問題が生じえます。
第3号被保険者の定義をより正確に言うと、第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者で、年収が130万以下でなければなりません。
公的年金では、内縁関係(事実上の結婚とみなされる関係)も第3号被保険者とみなしてくれることもありますが、同性カップル等が内縁関係を証明すること非常に困難です。
渋谷区等が行っているパートナーシップも、年金制度上どのように扱うか、現時点で方針は定まっていません。

3.受け取れる年金の種類

年金の受け取りと聞くと、自分が高齢になったときに受け取れるものと捉えてしまいがちですが、国民年金、厚生年金(共済年金)ともに主たる3つの給付の種類があります。

給付の種類 簡単な給付の条件
老齢年金 原則的に65歳から給付される
障害年金 身体に障害を負ったときに給付される
遺族年金 年金加入者の遺族に対して給付される

年金の給付

このように年金は非常に複雑です。
なので、2015年に年金制度を一元化しようという試みのもと「被用者年金一元化法」が成立し、同年10月から共済年金の一部が厚生年金に統合されました。

次回は、なぜこんなに年金が複雑になったのかと、この変更を踏まえて解説していきます。

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◎この記事を書いた人・・・石野大地
よく「何者なの?」「生態が謎」と言われるが、本人が一番分かっていない。
大学在籍中から、大山愛未(元SDN48)、Shinnosuke(元SOUL’d OUT)などのヴィジュアルデザインを手掛ける。
今は通信インフラ会社でマーケティングをやっているらしい。